いよいよ今年のリーグワンも日本一を決めるプレーオフへ突入!本記事では、覇権を争う6チームを簡潔にご紹介します。合わせてラグビーの基本ルールや日本ラグビーの歴史も解説します。ラグビー初心者の貴方向けのガイドです!
頂点を決める戦い!リーグワンで今年の覇権を争う6チーム
激闘の連続となったレギュラーシーズンを終え、いよいよリーグワンの王者を決める過酷なトーナメントが幕を開けます。安定した戦いぶりで上位を走り続けたチームから、土壇場で切符を掴み取ったチームまで、覇権を争う6つのチームを紹介。日本一の栄冠を手にするのは果たしてどのチームなのでしょうか。
コベルコ神戸スティーラーズ (レギュラーシーズン1位)
「コベルコ神戸スティーラーズ」は、1928年に神戸製鋼所のラグビー部として創部された日本屈指の伝統を誇るチームです。チーム名は「鉄鋼(Steel)」に由来し、1988年から1994年にかけては日本ラグビー界に燦然と輝く黄金時代を築き上げました。
しかし、リーグワン発足後は中位から下位に甘んじていました。その殻を破ったのが昨シーズンでした。レギュラーシーズン5位の成績で初めてプレーオフへ進出すると、勢いそのままに最終成績3位へと躍進を遂げたのです。
その勢いは今シーズンさらに加速し、リーグ随一の圧倒的な得点力を武器に、見事にレギュラーシーズンを1位で通過。かつて日本ラグビーを席巻した名門が、完全復活を懸けてプレーオフへ挑みます。
埼玉パナソニックワイルドナイツ (レギュラーシーズン2位)
「埼玉パナソニックワイルドナイツ」の前身は「三洋電機ラグビー部」。三洋電機がパナソニックの子会社となったことに伴い「パナソニック ワイルドナイツ」となりました。「ワイルドナイツ」は「野武士」という意味。
リーグワン初年度には、レギュラーシーズン2位からプレーオフを制覇し、見事初代チャンピオンの栄誉を手にしました。その後も毎年、レギュラーシーズンを1位または2位で終えてプレーオフへと進出。しかし初優勝以降、頂点にはあと一歩届かないシーズンが続いています。昨シーズンは3位決定戦で「神戸スティーラーズ」に敗れてまさかの4位。リーグワン発足後、最低順位という悔しさを味わいました。
今シーズンも、リーグワン屈指の鉄壁のディフェンスを武器に常に上位をキープ。レギュラーシーズン2位でプレーオフ進出を決めました。初年度以来となる王座奪還を狙います。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ (レギュラーシーズン3位)
「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」は、産業機械で世界的に有名なクボタのラグビー同好会として創部されました。チーム名の「スピアーズ」は英語で「槍」を意味します。チームのマスコットはユニコーンで、その角を強調したエンブレムを掲げています。
リーグワンでは初年度から2年連続でプレーオフに進出し、2022-23シーズンには「ワイルドナイツ」を破って見事優勝を果たしました。しかし、ディフェンディングチャンピオンとして迎えた翌年は大苦戦し、まさかのプレーオフ進出を逃すという悔しさを味わいます。
チームの持ち味は、チームカラーから「オレンジの壁」とも評される屈強なフォワード陣のフィジカルです。今シーズンは持ち前のフィジカルを中心に、攻守でバランスよくその能力を発揮。レギュラーシーズンを通しての得点力は「スティーラーズ」に次いで2位、失点の少なさも「ワイルドナイツ」に次いで2位という安定感を見せ、レギュラーシーズンを3位で突破。オレンジの軍団が覇権奪回を狙って突き進みます。
東京サントリーサンゴリアス (レギュラーシーズン4位)
「東京サントリーサンゴリアス」は、サントリーのラグビー同好会として創部されました。チーム名には、サントリーの「サン」と太陽の「Sun」、そして旧約聖書に登場する巨人「ゴリアテ」の意味が掛け合わされています。チームカラーは太陽を思わせるイエローで、マスコットキャラクターはゴリラのサンゴリアス君です。
チームが掲げるのは「アグレッシブ・アタッキングラグビー」。その名の通り、観る者を魅了する攻撃的なプレースタイルが魅力です。リーグワン発足以降、初年度から毎年プレーオフに進出するも、決勝に進出したのは「ワイルドナイツ」に敗れた初年度のみ。
今シーズンはW杯連覇を誇る南アフリカのスター選手、チェスリン・コルビが得点王を獲得。チームはレギュラーシーズン4位からプレーオフへ進出し、悲願の初優勝を狙う。
リコーブラックラムズ東京 (レギュラーシーズン5位)
「リコーブラックラムズ東京」は、コピー機やプリンターでおなじみのリコー(創部当時は理研光学工業)のラグビー同好会として1953年に誕生した歴史を持つ。チーム名は「雄羊(ラム)」に由来しています。
近年は成績が振るわず、リーグワン発足後も下位から中位に甘んじる苦しいシーズンを過ごしてきました。しかし、今シーズンは粘り強い戦いぶりで9勝9敗という成績を残し、見事にリーグ5位へと躍進。初のプレーオフ進出を決めました。
ちなみに、チームマスコットの黒羊「ラムまる」はリーグワンのマスコット総選挙で3度優勝の絶対王者。今季はチームも大舞台でのさらなる躍進を狙います。
東芝ブレイブルーパス東京 (レギュラーシーズン6位)
「東芝ブレイブルーパス東京」の前身は、東芝府中工場のラグビー部です。チーム名には英語の「brave(勇敢な)」とラテン語の「lupus(狼座)」が掛け合わされ、「勇敢な狼たち」を意味しています。
トップリーグ時代に5度の優勝を飾った後、成績は長らく下降線をたどっていました。リーグワン発足後は初年度は4位、翌年は5位の成績で、2023-24シーズンに優勝。翌年も優勝し、リーグワン史上初の連覇を達成しました。
しかし、3連覇を目指すディフェンディングチャンピオンとして挑んだ今シーズンは、苦難のシーズンとなりました。開幕戦でライバル「ワイルドナイツ」と対戦すると、0-46と攻撃を封じられ完敗。シーズン中盤にはまさかの7連敗を喫し、プレーオフ進出すら危ぶまれる事態に。
その後、連敗を脱して立て直し、シーズン最終戦では「ワイルドナイツ」と再び対戦。雪辱を期すも、0-45で敗れるという今季を象徴する試合となりました。それでも、ギリギリの6位でプレーオフへの切符をもぎ取りました。手負いの狼たちが、王者のプライドを懸けて3連覇に挑みます。

スポーツのチームって、名前の由来とかにチームの哲学だったり心意気があらわれてて、知れば知るほど面白いよね。
どのチームもここまで来るのに背負ってるドラマが熱くて、マジで全てのチームに優勝して欲しい!
個人的にちょっとクスッときたのは、ブラックラムズ東京! チームは初のプレーオフ進出でこれからって時に、マスコットのラムまるは3回も優勝してる絶対王者なんだね(笑)
大勢のファンの声援を受けて、選手たちが大舞台でどんなプレーを見せてくれるのか、めちゃくちゃ楽しみ! どのチームも、自分たちの信じるラグビーを全力でぶつけ合って、最高のプレーオフにして欲しいな!
コベルコ神戸スティーラーズ(レギュラーシーズン1位)
- 1928年に神戸製鋼所のラグビー部として創部、チーム名は「鉄鋼(Steel)」に由来
- 1988〜1994年に黄金時代を築く
- 昨シーズンは3位と躍進
- 今シーズンはリーグ随一の得点力でレギュラーシーズン1位通過、完全復活を狙う
埼玉パナソニックワイルドナイツ(レギュラーシーズン2位)
- 前身は「三洋電機ラグビー部」、「ワイルドナイツ」は「野武士」の意味
- リーグワン初年度に初代チャンピオンとなったが、以降は優勝に手が届いていない
- 昨シーズンは「神戸スティーラーズ」に敗れて4位
- 鉄壁のディフェンスを武器にレギュラーシーズン2位で通過、王座奪還を狙う
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(レギュラーシーズン3位)
- クボタのラグビー同好会として創部、「スピアーズ」は「槍」の意味、マスコットはユニコーン
- 2022-23シーズンに優勝経験あり
- 屈強なフォワード陣が持ち味
- 今シーズンは得点力2位・失点の少なさ2位の安定感でレギュラーシーズン3位通過
東京サントリーサンゴリアス(レギュラーシーズン4位)
- サントリーの「サン」・太陽の「Sun」・巨人「ゴリアテ」を掛け合わせたチーム名
- チームカラーはイエロー、マスコットはゴリラの「サンゴリアス君」
- 「アグレッシブ・アタッキングラグビー」を掲げる攻撃的なスタイル
- リーグワン初年度から毎年プレーオフに進出するが、決勝に進めたのは準優勝した1回のみ
- 今シーズンは南アフリカ代表のスター選手チェスリン・コルビが得点王を獲得
リコーブラックラムズ東京(レギュラーシーズン5位)
- 1953年創部、チーム名は「雄羊(ラム)」に由来
- リーグワン発足後は低迷が続いていたが、今シーズン9勝9敗で5位に躍進し初のプレーオフ進出
- チームマスコット「ラムまる」はリーグワンのマスコット総選挙で3度優勝
東芝ブレイブルーパス東京(レギュラーシーズン6位)
- 前身は東芝府中工場のラグビー部、「勇敢な(brave)」+「狼座(lupus)」で「勇敢な狼たち」の意味
- トップリーグ時代は5度の優勝
- 2023-24・2024-25シーズンと、リーグワンで初めて連覇を達成
- 今シーズンは7連敗を喫するなど苦しむも、6位でプレーオフ進出。3連覇に挑む
これだけ分かれば楽しく観戦できる!ラグビーの基本ルール
「ラグビーって面白そうだけど、ルールが難しそう…」そんな風に思っていませんか?いくつかの基本的なポイントを押さえるだけで、ラグビーは楽しく観戦できます。
ここでは、初めてラグビーを見る人向きの基本ルールを分かりやすく解説します!
1. ラグビーの試合時間と「ノーサイド」
- 試合時間は「前半40分・後半40分」: サッカーなどと同じように前半と後半に分かれており、間にハーフタイム(休憩)を挟んで合計80分間戦います。
- ラグビー独特の試合終了条件 :ラグビーが他のスポーツと大きく違うのが「試合の終わり方」です。80分が経過してホーン(ブザー)が鳴っても、すぐには試合が終わりません。 時計が80分を過ぎた後、「ボールが外に出る」か「反則が起きる(※一部例外あり)」までプレーが続行されます。そのため、最後のワンプレーで何分も攻防が続いたり、劇的な大逆転が起きたりするのがラグビーの最大の醍醐味です。そして、試合が終われば敵味方の区別なく「ノーサイド」の精神で健闘を讃え合います。
2. どうすれば勝てる?得点の仕組み
ラグビーの得点方法は以下の通りです。「トライ」+「コンバージョン」で7点を狙うのが基本となります。
- トライ(5点): 相手の陣地の奥深く(インゴール)までボールを運び、ボールを「地面に付ける」と5点が入ります。アメフトのようにラインを超えるだけではダメで、しっかりコントロールして地面に接触させる必要があります。
- コンバージョンキック(2点): トライの直後に行うゴールキック。H型のポールの間にボールを通せば、追加で2点が入ります。
- ペナルティゴール(3点):相手が重い反則を犯したとき、ゴールへのキックを選択して成功すれば3点。
- ドロップゴール(3点): 試合中にボールをいったん地面にバウンドさせ、そのままキックしてゴールに通せば3点。一見、簡単そうに思えますが、対戦相手からの激しいプレッシャーの中で、楕円形のボールをきれいにバウンドさせ、それを正確に蹴るのは至難の業です。
3. どんな選手がいる?ポジションと役割の違い
ラグビーは「1チーム15人」という人数で戦うスポーツです。ポジションは大きく「フォワード」と「バックス」の2つのグループに分かれます。
- フォワード(FW:前衛の8人)
- 体格・役割: 体が大きくて体重も重く、力が強い「パワー系の選手」です。後述するスクラムを組んだり、密集戦で体を張ってボールを奪い合ったりと、縁の下の力持ちとしてチームを支えます。
- バックス(BK:後衛の7人)
- 体格・役割: 足が速くて、ランやキックの技術に優れた「華麗なスピードスター」たちです。フォワードと比べると体が小さく細身の選手が多い。フォワードが体を張って獲得したボールを受け取り、グラウンドを広く使ってパスやランを繋ぎ、トライを奪うのが主な役割です。

4. 試合を熱くする「セットプレー」と「肉弾戦」
ラグビーを見ていると、選手たちが団子のように固まっている場面をよく見かけますよね。あれが分かるとラグビーはもっと面白くなります。
タックル後の密集では何をやっている?
ボールを持った選手がタックルされて倒れると、敵と味方の選手が次々と集まってきて押し合いになります。これは「ボールの奪い合い」をしているのです。 ラグビーでは「倒れた選手はボールを離さなければならない」というルールがあります。そのため、敵はボールを奪い取ろうとし、味方はボールを守ろうと、激しく押し合っているのです。
- 【タックル後の密集でよく起きる反則】
- ノット・リリース・ザ・ボール: タックルされて倒れたのに、ボールを離さない反則。
- ノット・ロール・アウェイ: タックルしたディフェンス側の選手が倒れたまま、攻撃側のプレー(球出しなど)を妨害してしまう反則
漢たちの力比べ「スクラム」
軽い反則などがあった後、試合を再開する方法です。両チームのフォワード8人ずつがガッチリと肩を組み合い、中央に投げ込まれたボールを足で掻き出します。ここで相手を押し込むことで、味方のバックスへ有利なボールを供給する重要なプレーです。
- 【スクラム時によく起きる反則】
- コラプシング: スクラムをわざと(または力負けして)崩してしまう反則。重い反則を取られ、相手チームにペナルティキックまたはセットプレーの権利が与えられます
空中で繰り広げるボール争奪戦「ラインアウト」
ボールがグラウンドの外に出た後の再開方法です。両チームの選手が1列に並び、投げ込まれたボールを奪い合います。
- 敵陣ゴール付近は最大のチャンス: 敵のゴールライン近くでのラインアウトは、大チャンス!ボールをキャッチした後、そのままフォワードが固まって押し込み、力ずくでトライを奪いにいくのが定番です。
5. 笛が鳴ったら要チェック!よくある「反則」と「アドバンテージ」
最後に、試合中によくある反則の名前と、少し特殊なルールを解説します。
- スローフォワード/ノックオン: ラグビーの絶対のルールとして「ボールを前に投げてはいけない」というものがあります。前にパスをしてしまう反則が「スローフォワード」、ボールを前に落としてしまうミスが「ノックオン」です。どちらもスクラムで試合再開となります。
- オフサイド: ラグビーでは、ボールがある位置よりも「前(敵陣側)」にいる選手はプレーに参加してはいけません。これを破るとオフサイドという重い反則になります。
- ハイタックル: 安全を守るためのルールで、相手の「頭や首」にタックルをする危険な反則です。一発でイエローカード(10分間退場)やレッドカード(一発退場)が出やすい。
- 試合を止めない魔法のルール「アドバンテージ」: 試合中、反則が起きたのに審判がすぐに笛を吹かないことがあります。これは「アドバンテージ」といって、「反則された側のチームに有利にプレーが進んでいるから、あえて試合を止めないでおく」というルールです。攻撃側がボールを奪われたりした場合、審判は笛を吹き、反則が起きた時点に戻ってやり直しをしてくれます。このルールのおかげで、プレーがいちいち途切れずスピーディーに試合が進み、「アドバンテージ」をもらった攻撃側のチームはより大胆に攻めることができます。

ラグビーって、選手がいつも団子になって押し合ってて、ルールがめちゃくちゃ難しそうってイメージがあったんだけど、この記事読んだら何となく分かったかなぁ。
「アドバンテージ」ってルール、気が利いててなんかイイね。攻撃側に有利ならあえて笛を吹かないでおいてくれるなんて、ルールを作った人、めちゃくちゃ分かってるじゃん!
「ノット・リリース・ザ・ボール」とか長い反則の名前は忘れちゃいそうだけど、とりあえず「前にボールを投げちゃダメ!」ってことと、どうやったら点が入るのかが分かれば、ボクでも十分に試合を楽しめそうかな?
試合時間と終了のルール
- 試合時間は前半40分・後半40分の合計80分
- 80分経過でホーンが鳴っても、「ボールが外に出る」か「反則が起きる」までプレーが続く
- 試合終了後は敵味方の区別なく「ノーサイド」の精神で健闘を讃え合う
得点の仕組み
- トライ(5点):相手のインゴールにボールを接触させる
- コンバージョンキック(2点):トライ直後のゴールキック成功で追加点
- ペナルティゴール(3点):相手の重い反則時にゴールキック成功
- ドロップゴール(3点):試合中にボールをバウンドさせてそのままキックしゴールに通す
ポジションの区分
- 1チーム15人で戦う
- フォワード(8人):体格が大きくパワー系、スクラムや密集でのボール争奪を担う
- バックス(7人):足が速くスピード系、パスやランでトライを狙う
タックル後のルール
- タックルされて倒れた選手はボールを離さなければならない
- ノット・リリース・ザ・ボール:タックルされて倒れた選手がボールを離さない反則。
- ノット・ロール・アウェイ:守備側の選手がタックル後に倒れたまま、攻撃側のプレーを妨害する反則
セットプレー
- スクラム:軽い反則後の再開方法。両チームのフォワード8人ずつが組み合う力比べ
- コラプシング:スクラムを崩してしまう反則。相手チームにペナルティキックまたはセットプレーの権利が与えられる
- ラインアウト:ボールがグラウンド外に出た後の再開方法。1列に並んで空中でボールを奪い合う
主な反則
- スローフォワード/ノックオン:ボールを前に投げる/前に落とす
- オフサイド:ボールより前方にいる選手がプレーに参加する反則
- ハイタックル:相手の頭や首へのタックル。イエロー・レッドカードが出やすい
アドバンテージルール
- 反則が起きても、反則された側に有利な状況ならプレーを続行させるルール
- 反則された側がボールを奪われたりした場合、反則が起きた時点に戻ってやり直す
- 攻撃が途切れずスピーディーに試合が進むメリットがある
- アドバンテージをもらうことで、より大胆に攻めることが可能になる
日本ラグビーの発展と苦闘の歴史
日本で開催された大会では、世界的な強豪チームを次々と撃破し、日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビー日本代表。しかし、その華々しい活躍の裏には、世界との実力差に苦しみ続けた、長く険しい歴史がありました。
日本へのラグビー伝来と黎明期
幕末の黒船来航以降、日本にはさまざまな西洋文化が怒涛のように流れ込みました。スポーツもその一つで、日本で最初のラグビーの試合が行われたのは1874年(明治7年)のこと。横浜に寄港していたイギリスの船員たちによってプレーされたという記録が残っています。
本格的に日本人にラグビーが伝えられたのは1899年(明治32年)です。慶應義塾大学の学生たちに対し、イギリス人英語教師のエドワード・ブラムウェル・クラークと、ケンブリッジ大学への留学経験を持つ田中銀之助がルールを教えたのが始まりとされています。これを機に大学を中心に競技が広がり、日本独自のラグビー文化が少しずつ根付いていきました。
学生スポーツとして発展を遂げた日本ラグビー
戦前から戦後にかけて、日本ラグビーの中心を担ったのは学生でした。慶應・早稲田・明治などの伝統校同士の対抗戦は多くのファンを魅了し、なかでも慶應と早稲田の「早慶戦」は1924年から開催され、多くのファンを熱狂させてきました。
一方で社会人ラグビーも発展を見せます。現在の「コベルコ神戸スティーラーズ」の前身である神戸製鋼所のラグビー部は1928年に創部されました。1970年代半ばから1980年代にかけては「新日鉄釜石」が日本選手権7連覇という黄金時代を築き、「北の鉄人」として全国に名を轟かせました。
さらに、1980年代半ばには高校ラグビーを題材にしたテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』が大ヒットし、ラグビー人気は大きな盛り上がりを見せました。
“世界の壁”に苦しんだ日本代表
国内では人気を獲得していった日本のラグビーですが、いざ世界に目を向けると、日本代表は「世界の壁」に跳ね返され続けました。1987年に第1回ラグビーワールドカップが開催されて以降、日本はアジア予選を勝ち抜き、本大会へ出場し続けています。しかし、本大会では体格とパワーで勝る世界の強豪国に全く歯が立たない時期が続きました。
第7回大会(2011年)までの成績では、第2回(1991年)のジンバブエ戦で挙げた貴重な1勝と、第6回(2007年)、第7回(2011年)のカナダ戦での引き分け以外は敗戦という非常に厳しい結果となっています。
とくに1995年の第3回大会では、優勝候補のニュージーランド代表(オールブラックス)相手に「17対145」という歴史的大敗を喫してしまいます。このスコアは、今でもワールドカップ屈指の大差試合として残っています。
世界の強豪に負け続けた悔しい時代。しかし、この屈辱と苦闘の歴史をバネにして強化を続けたからこそ、第8回大会での「奇跡」へと繋がっていくのです。
世界を震撼させた「ブライトンの奇跡」と新たな歴史の幕開け
長く苦しい低迷期を経て迎えた、2015年の第8回ラグビーワールドカップ大会。ここで日本ラグビーの歴史を塗り替える大事件が起こります。
初戦の相手は、過去2度の優勝を誇る強豪・南アフリカ代表でした。世界中の誰もが南アフリカの圧勝を疑わない中、日本代表は一歩も引かずに死闘を繰り広げます。そして29対32で迎えた試合終了間際、比較的確率が高く同点に持ち込めるペナルティキックの権利を得ながらも、日本はスクラムを選択し、逆転勝利を狙う「勝負」に出たのです。そこからの劇的な逆転トライにより、34対32で勝利を収めたこの試合は「史上最大の番狂わせ」と世界で報道されました。
勢いに乗った日本代表は、第2戦のスコットランド戦こそ敗れたものの、その後のサモア戦、アメリカ戦を見事に連勝。最終的に「3勝1敗」という過去最高の成績を記録します。
しかし、勝ち点の差で惜しくもグループリーグ敗退となり、「3勝しながら決勝トーナメントに進めなかった史上初のチーム」となってしまいましたが、彼らの戦いぶりは世界中から惜しみない称賛を浴びました。長年立ちはだかっていた“世界の壁”を打ち破ったこの2015年大会は、日本ラグビーの新たな歴史の幕開けとなったのです。

初の決勝トーナメント進出と日本中を巻き込んだ熱狂
第8回大会の快挙を経て迎えた2019年の第9回ラグビーワールドカップは、アジア初となる日本での開催でした。スローガン「ONE TEAM」を掲げた日本代表は、またしても世界中を驚かせる快進撃を見せます。
開幕戦でロシアに快勝し、迎えた第2戦の相手は、当時世界ランキング2位で優勝候補の一角アイルランドでした。圧倒的に不利と見られていた中、日本代表は粘り強いディフェンスで相手の猛攻を抑え、19対12で見事に逆転勝利を収めます。前大会の南アフリカ戦に続き、世界を驚かせる大金星でした。
続く第3戦でもサモアを撃破し、無傷の3連勝で迎えたグループリーグ最終戦の相手は、因縁の相手スコットランド。この試合の負け方次第では前回大会のように「3勝を挙げながらグループリーグ敗退」という悪夢の可能性が残された中での大一番でした。
試合は先制トライを許すも、松島幸太朗、稲垣啓太、福岡堅樹が連続トライで21対7とリードで前半終了。しかし後半にはスコットランドの猛追を受けて28対21まで詰め寄られますが、ここを踏ん張り逃げ切ります。
この結果、日本代表はグループリーグ全勝(4勝0敗)での首位通過を達成。長年の悲願であった「ベスト8(決勝トーナメント進出)」の壁をついに打ち破ったのです。準々決勝では、この大会で優勝する南アフリカに敗れてしまいましたが、日本中を熱狂の渦に巻き込んだこの大会は、長く世界の壁に苦しんだ日本ラグビー史におけるハイライトとして歴史に刻まれました。
現在でもラグビーの試合が地上波で放送される機会はまだまだ少ないですが、衛星放送などで中継を見かけた際は、観戦してみてはいかがでしょうか。選手たちの熱い戦いを目の当たりにすれば、日本中が熱狂したあのワールドカップの興奮が鮮やかに蘇ってくるはずですよ!

世界大会のニュージーランド戦で、17対145という歴史的大敗だと? 普通の人間なら心が折れて店を畳むレベルの点差だ。だが、そこから逃げずに泥水をすすり続けたからこそ、今の日本ラグビーがあるのだろう。
少し叱られただけで、もう辞めてやると騒ぎ立て、すぐに逃げ道を探す現代の若いやつらに、この日本代表の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ!
そして、2015年の南アフリカ戦だ。 試合終了間際、同点に持ち込める無難なペナルティキックの権利を得ながら、逆転を信じてスクラムという「勝負」に出たというじゃないか。
失敗を恐れて安全策を取るのが世の常だが、ここ一番で己の退路を断つその腹の括り方、実に天晴! 覚悟を決めた人間にしか、奇跡など起こせんのだ。男の勝負とはこうあるべきだな!
日本へのラグビー伝来
- 日本で最初のラグビーの試合は1874年(明治7年)、横浜に寄港したイギリス船員によって行われた
- 日本人への本格的な普及は1899年(明治32年)、慶應義塾大学でイギリス人教師クラークと田中銀之助がルールを教えたことが始まり
国内での発展
- 大学ラグビーが日本のラグビー人気を担っていた
- 慶應・早稲田の「早慶戦」は1924年から開催されている
- 現在の「コベルコ神戸スティーラーズ」である神戸製鋼所のラグビー部は1928年に創部された
- 「新日鉄釜石」が1970〜80年代に日本選手権7連覇を達成し「北の鉄人」として名を轟かせた
- 1980年代半ば、ドラマ『スクール☆ウォーズ』の大ヒットでラグビー人気がさらに拡大した
日本代表苦闘の時代(〜2011年)
- 1987年の第1回ワールドカップから本大会出場を続けたが、長年勝てない時代が続いた
- その期間に挙げたのは、ジンバブエ戦での1勝とカナダ戦での2引き分けのみ
- 1995年の第3回大会ではニュージーランド(オールブラックス)に「17対145」という歴史的大敗を喫した
「ブライトンの奇跡」(2015年・第8回大会)
- 過去2度の優勝を誇る南アフリカに34対32で逆転勝利し「史上最大の番狂わせ」と世界中で報道された
- 最終成績は「3勝1敗」ながら勝ち点差でグループリーグ敗退、「3勝しながら決勝トーナメントに進めなかった史上初のチーム」となった
初の決勝トーナメント進出(2019年・第9回大会)
- 日本が開催。アジアがラグビーワールドカップを開催したのは初めて
- 日本代表のスローガンは「ONE TEAM」
- 世界ランキング2位のアイルランドを19対12で撃破するなど、グループリーグを4勝0敗の首位で通過
- 長年の悲願だった「ベスト8(決勝トーナメント進出)」をついに達成した
- 準々決勝ではこの大会で優勝する南アフリカに敗れたが、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ
